安倍晋三首相と「腹心の友」の加計学園の疑惑が晴れないまま、国会は最終盤を迎えた。友はなぜ、獣医学部をつくろうとしているのか。
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依然として怪文書扱いであることに変わりはないようだ。前川喜平・前文部科学事務次官が「総理のご意向」などと書かれた加計学園獣医学部新設を巡る文書の存在を認めたのに続き、複数のメディアが現役の文科省職員もその文書の存在を認めたことを報じている。6月8日の官房長官会見では、記者が「複数のメディアが報じた内容はウソなのか?」と問う場面もあった。菅義偉官房長官は、
「嘘だとは言っていません。様々なご指摘を受けて、文部科学省において検討した結果、出所や入手経緯が明らかにされていない文書については、その存否や内容などの確認の調査を行う必要がない。そのように判断をしたということです」
●30年来の腹心の友
9日、文科省は文書の追加調査の方針を示したが、文書の存在が問題視される理由は他でもない、安倍首相と加計学園理事長である加計孝太郎氏が親密な間柄にあるからだ。加計学園が経営する千葉科学大学(千葉県銚子市)の開学10周年の記念式典に参加した安倍首相。祝辞の中で加計氏を「30年来の友人である私と加計さんはまさに腹心の友」と語ったことは誰もが知るところ。二人の関係を知る政界関係者はこう話す。
「安倍さんが留学した南カリフォルニア大学で二人は知り合った。その後も神戸製鋼に入社した安倍さんと、岡山にいた加計さんの距離は縮まっていった。お坊ちゃん同士で気が合ったんでしょう」
父親は外相や自民党幹事長を歴任した安倍晋太郎。母方の祖父に岸信介元首相を持つ安倍首相が政界きっての「世襲議員」であることは旧聞に属するが、加計氏も「世襲経営者」だ。
加計学園の歴史は1955年に父親の故加計勉氏が大学受験予備校として設立した広島英数学館に始まる。62年には学校法人として岡山電機工業高等学校を設立し、学校経営に乗り出した。今では岡山理科大学を中心に、中四国地区屈指の教育グループになっている。加計氏が2代目の理事長に就任したのは、2001年のことだ。
前出の政界関係者はこう話す。