経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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働き方改革とかいう妙なキャッチフレーズが出てきて、どうもおかしな方向に話が向かい始めました。
今や「残業をなくせ」という圧力があちこちから出てきています。一方で、多くの会社員からは「残業代がなくなったら食えない」というような声が上がるようになって、消費支出の減少の原因になりつつあるというのです。なんのこっちゃ、と言いたくなります。議論が完全に迷走しているといっても過言ではありません。
アメリカの場合は、就業者は二つに分かれており、労働法であるFLSA(公正労働基準法)に準ずる者と、そこから完全にExempt(除外)される「ホワイトカラー・エグゼンプション」という就業者がいます。
FLSAに準ずる労働者は、最低賃金や残業時間などが厳しく決められており、アメリカで経営している立場から言うと、このルールを破ると会社がなくなりかねないほどの厳しさで罰せられます。