
スコットランドの作家アーヴィン・ウェルシュの小説が原作の映画「トレインスポッティング」。映画史に残る傑作だ。あれから20年。当時のスタッフと主要キャストが結集し、続編が公開される。
産業革命から無料の医療制度、そしてビートルズまで。201年ロンドンオリンピックの開会式は、多くの要素を織り込みながらイギリスの歴史を驚くべきエンターテインメントにした。この開会式の芸術監督を務めたのがダニー・ボイルだ。
●20年の間の人生を描く
本業は映画監督。1996年公開の「トレインスポッティング」は映画史に残る傑作とされる。当時を振り返ってこう話す。
「原作がとにかくすごかったから、触発されたんだ。こんな作品に出合うことはまれだし、滅多にないチャンス。このエクストリームなキャラクターのイメージを忠実に映像にしようというのが、純粋な目標だった。小説を読んだときに想像した、そのままを映画にしたんだよ」
スコットランドのエディンバラに生きる4人の若者のドラッグと犯罪にまみれた人生が、「男の友情」を軸に描かれる。スタイリッシュな映像、先鋭的なダンス、ロックミュージックを挿入したスピード感あふれる映像。ショックと涙が交差する映像体験として、すべてが革命的だったこの名作の20年ぶりの続編が公開される。「T2 トレインスポッティング」だ。
「1作目のスピリットに忠実であると同時に、20年が過ぎたという事実をいかに描くかという点が一番の課題だったと思う。各キャラクターがその20年で潜り抜けてきた人生を正確に、正直に描きたかった。そして見ていて楽しめる、とてつもなくおいしい映画にしたかったんだ」
友情で結ばれていたはずの4人で盗んだ大金を、ユアン・マクレガー演じる主人公が独り占めして立ち去るというのが1作目の結末。その彼が20年ぶりにエディンバラに帰郷するところから「T2」は始まる。4人の再会は甘酸っぱいどころか、後悔と涙、怒りとリベンジが入り交じる苦い体験として描かれる。