日本語を「中間日本語」化するトレーニングは、英語の構造に沿った文章を考えることにつながり「英語脳」が養われるほか、日本語でも端的でロジカルな文章を書けるようになる効果があるという。

 伝わる英語が書けるようになったら、次はさらに完成度を高めたい。Google翻訳ではなく、Google本来の検索機能を使うテクニックを教えてくれたのは、特許に必要な文書の翻訳を専門にする奥田百子さん。専門的な表現が多いうえ、英訳した文章がそのまま特許として登録されるため、わずかな間違いも許されない。

「aとthe、複数形と単数形の使い分けなどは、数人のネイティブに聞いても異なる答えが返ってくることがあり、翻訳の際に迷うことが多いですね」

●前置詞選びに迷ったら

 この表現で正しいのかどうか。ネイティブに確認してもらうにはその都度、費用がかかる。そこで実践しているのが、Googleをネイティブチェック代わりに使う方法だ。

 ダブルクオーテーション「“”」とアスタリスク「*」が活躍する。例えば、「回復効果」という専門用語を英訳したいとき。辞書で調べても、「recovering effect」や「recovery effect」など候補が複数あり、どれを選ぶべきか迷ってしまう。そんな時は“recovering effect”のように、ダブルクオーテーションでくくって検索する。

 Googleの検索では、前置詞や冠詞など検索しようとするキーワードに関連性の薄いものは自動的に除外される仕組みになっているが、この方法を使うと、ダブルクオーテーションでくくった文字と完全一致するもののみを検索できる。

 候補が複数あって迷ったら、ヒット数や文例を見れば、それがどの程度、どんなふうに使われているのかが確認できる。
 また、「レストランでランチをする」と言いたいときに前置詞に迷ったら、“beat lunch * the restaurant”と、ダブルクオーテーションでくくったうえで前置詞が入るべきところにアスタリスクを挿入し検索すれば、「eat lunch at the restaurant」が多数ヒットする。

 このアスタリスクは2語以上でも有効で、例えば

“eat lunch * restaurant”と検索すれば、前置詞と冠詞、どちらも一度に調べられる。

 以前は数日かけて翻訳する分野で使われる英語表現を学んでいたという奥田さん。

「いまではすべてGoogleで調べることができ、作業時間は圧倒的に短くなりました」
(編集部・市岡ひかり

AERA 2017年2月6日号