『バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー』(1620円+税 BEAT RECORDS/SMITH HYDE PRODUCTIONS)/6年ぶりに発表したニューアルバム。オリコン洋楽チャート初登場1位を記録。※Amazonで購入
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 イギリスのエレクトロニックバンドUnderworldが武道館ライブのために来日。メンバーのカール・ハイドが取材に応じた。2人の絆、そして音楽の力とは。

「もうこれ以上落胆することなんて残されていないんだよ、世界中を略奪した帝国を失ったあとだからね」

 EU離脱を決めた国民投票への感想を訊くと、英国のミュージシャンらしいヒネりすぎた答えが返ってきた。

 イギリスを代表するエレクトロニックバンド、Underworld(アンダーワールド)は、ロンドン五輪開会式で音楽監督を務め、イギリス社会の多様性と個性を祝福する舞台演出を音楽で盛り上げた。

●日本武道館で初ライブ

 日本でも愛されていて、この春、6年ぶりに発表したアルバム「バーバラ・バーバラ・ウィ・フェイス・ア・シャイニング・フューチャー」はオリコン洋楽チャート初登場1位を記録。今夏のサマーソニックでもスタジアムを歓喜のダンスホールへと変え、安定と圧巻のステージを見せつけた。

 さらに11月9日には、いまさらの感もある初の日本武道館ライブを敢行。トレードマークのボーダーTシャツやライブでのキレッキレの動きを見ていると、40代と見紛うが、実はメンバー2人とも還暦間近だ。

 音楽業界に飛び込んだのは1980年代初頭に遡る。デュラン・デュランやカジャグーグーのようなニューウェーブ系ポップバンドとしてデビューしたがヒットしなかった。

「創造性の追求じゃなくてカネのため。僕はもともと貧しい家庭の出身だからポップスターになって一旗揚げようと思ってしまった。全然向いてないのにね」

「10年しがみついたあと、もう音楽をやめる覚悟で自分たちに正直になって」ポップ路線からエレクトロニックに比重を移すと、瞬く間に英テクノシーンを牽引する存在にのしあがった。96年には映画「トレインスポッティング」のサウンドトラックで世界的に大ブレイク。それ以降、世界中のロックフェスティバルやスタジアムイベントのヘッドライナー、つまりメインアーティストとして、上質なエレクトロニックショーを繰り広げる常連となった。

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