その取り組みは2011年に始まった。
「当時会長だった仲井戸が『残業を半減しろ』と言い出したところ、役員陣からも『何を言ってるんだ?』という声が上がりました。人事部も『無理ですよ』『せめて20~30%減を目標にしませんか?』と抵抗したのですが、仲井戸の意志は岩のように硬かった(笑)」(同)
仲井戸氏はその翌年7~9月にかけて、半強制的に「残業半減運動」を展開。32部署に対して、残業を半減させるための施策をひねり出すよう指示を飛ばしたのだ。現場は渋々了承。それが予想以上の効果をもたらした。
「半数の部署で残業半減に成功したのです。その際の各部署の取り組みをイントラネットで共有することで、急速に残業削減が進むことになりました」(同)
その施策の多くは「業務の見直し」や「負荷分散」「ノー残業デーの導入」など、“よくある”もの。だが、なかには特徴的な事例もある。電話は1分以内・議事録は1枚以内・会議は1時間以内などと定めた「1Best運動」や、会議の時間・人数・資料をそれぞれ2分の1にする「1/8会議」といった取り組みだ。このとき生まれたユニークな取り組みの数々を手掛かりに、SCSKは2013年から有給休暇取得日数20日・平均月間残業時間20時間と定めた「スマートワーク・チャレンジ20」を開始。結果、2011年度には13日だった有給休暇取得日数は15年度に18.7日まで増加。2011年度に27.8時間だった平均月間残業時間は目標を大きく達成して18時間にまで減少したのだ。
システム開発業界は一般に“労働集約産業”と言われる。建設業界と同様、必要とされる技術者の頭数から逆算して、開発費を弾き出す。そのため、現場によっては、複数のシステム開発会社の技術者が入り混じって開発に携わることも。そんな現場で、SCSKの技術者だけが早上がりしようものなら、顧客離れが進みかねない。