オフィスのレイアウトも全面的に刷新した。まず、個人用のロッカーを設置し、執務用の机は引き出しのないテーブルタイプに変更。それも、外回りの社員を加味して、約120人の社員に対して90人分の執務スペースにとどめた。その分、空いたスペースには20席分のガラス張りの会議室や多数の打合せスペースを新設。不足がちだった打合せスペースが拡充されて業務効率が向上し、すっきりしたオフィスにすることで職場の快適性も向上したという。
「勤務管理の仕組みも整えました。残業を“届け出制”とし、18時半には執務スペースの明かりを消灯して、残業する人を打合せスペースに集めるようにしました。残業者の“見える化”ですね。目の前の残業者よりも早く帰りたいという意識が働くから、おのずと残業をする人は減っていきました(笑)」
結果、調達本部では一人当たり平均1日2時間の業務効率化を実現。そして、社員の職場満足度調査を行ったところ、変革前の72.2%が、変革後には98.2%にまで上昇したのだ。
実は、日本航空はワークライフ変革に当たって、複数の企業のオフィスを視察したという。そのうちの一社が、2010年にフリーアドレス制を導入したカルビーだ。
「きっかけは前年にジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長を務めた松本(晃)が当社の会長に就任したこと。『人間は、横には動くが、縦には動かない』を持論としていたので、ワンフロアで風通しのよいオフィスにするべく、フリーアドレス制を導入しました」(カルビー広報部・野原和歌氏)
そのオフィスはJALの調達本部とよく似ている。異なるのは、会長席・社長席が何のパーテーションで区切られることなくオフィス中央に置かれていることと、「ダーツ・オフィス」という座席決めのシステム。ダーツの要領で、ソフトが従業員の座る席を決めて行くのだ。