DNA鑑定によって親子関係を確認したいと希望する人が着実に増えている。その鑑定現場にはさまざまな人間模様が渦巻いていた……。
休日の昼下がり、生後半年足らずの息子が寝静まったのを見計らって、Aさん(30代)の奥さんが買い物へ。見送ってからしばらくして、Aさんは口を開けて眠る息子の口に綿棒状のものを差し入れた。口腔内の粘膜を採取しようと試みたのだ。
「妻は飲み歩くのが大好きで、日付が変わる時間まで帰ってこないこともしょっちゅう。それも、あっけらかんと私に『◯◯くんと飲んでたんだよ』と、男の名前を挙げて報告する。結婚当初は気にしないようにしていたのですが……妊娠したのがわかってから妙に気になって」
金融機関に勤務するAさんの仕事はハードだ。海外の投資家とやり取りする際には、仕事が深夜に及ぶことも。自然と結婚当初から“夫婦の営み”は少なかったという。妊娠が発覚した時期も月に1度程度だった。
「本当におれの子どもなのか?」
そして、ついには妻の目を盗んで、息子と自分のDNA鑑定を行うことにしたのだ。
●両親の無言の圧力
「フィリピンクラブで働く女の子との間に子どもができてしまったんです」
そう話すBさん(30代)も、同じく子どもと自分の親子鑑定を行った。20代で離婚を経験したBさんは、一昨年から仕事場近くのフィリピンクラブに週1ペースで通うようになったという。そこでフィリピン人女性と深い仲に。コンドームは使用しなかったが、“中”には出さないように注意していた。ところが、昨年夏に妊娠が発覚。式は挙げず、バタバタと引っ越しと入籍だけ済ませた。
「自業自得だと半ば諦めて再婚したのですが、当初から『本当におれの子を妊娠したのか?』という疑問は少なからずありました。ほかの客とアフターするのを頻繁に目撃していたので」
今年春先に生まれたのは、かわいらしい女の子。前妻との間に子どもがいなかったBさんは素直に喜んだ。が、母親の血を色濃く継いでいるのは一目でわかっても、自分の面影は見てとれない。趣味のダイビングをパタリとやめ、イクメンぶりを発揮する一方で、Bさんの疑念は次第に大きくなっていった。