リップグロスかと見まがう飴、色とりどりの板飴……ガラスケースそのものが輝いているようだった。その後も、花びらのように薄い「スイートアロマ」など、次々に新作を発表している。

「飴とは固まっているもの」という固定観念を覆す商品を出しているこの店の母体は、おなじみ榮太樓總本鋪だ。

「飴だけで店が出せたら、とは、ずっと考えていたんです。ただ飴に特化して、はたして採算が取れるのか、確信がもてませんでした」と語るのは、同社新規事業開発部長の大場美貴さん。

 日本の伝統的な飴「有平糖(あるへいとう)」をベースにした榮太樓の飴は、日本を代表する味のひとつだ。だが、あまりにもなじみすぎて、洋菓子のような話題にはなりにくい。一方、あめやえいたろうの商品は、どれもハッとするようなサプライズやドラマがある。

「スイートリップをお土産に持っていくと、そこで会話が始まるというお話をよく聞きます」と喜ぶ大場さんの希望は、飴を「コミュニケーションツール」として使ってもらうことだ。

「これからもお客様に驚いてもらえるものを作りたいと思います。スイーツ男子に向けたものは、ずっと考えている課題です」と意気込む。

●日本の美にかわいさも

 JR新宿駅新南口の新しい顔として話題の商業施設、NEWoManに今年4月、両口屋是清がプロデュースする「和菓子 結」がオープンした。同社としては初めてのエキナカ店舗でもある。

 店頭には、チョコレートがコーティングされたエクレアのような新作「ふゆうじょん」が並ぶ。両口屋是清の名物・どら焼きもあるが、通常の商品よりも一回りは小ぶりだ。

 他にも、切る場所によって切り口の景色が変わるようかん「あまのはら」や、職人が丁寧に作った金魚の干菓子など、目でも楽しめる商品が並んでいる。

「和菓子は手のひらサイズの日本の美だ、と言われます。結のお菓子は、和菓子になじみがなかったお客様にも、『カワイイ』『キレイ』と手に取ってもらって、そのおいしさに出合ってもらえたら──と、3年前から準備してきました」と、同社広報の近藤美香さん。

 両口屋是清は昨年まで、東京・表参道ヒルズに「R style」という新しい提案をする店舗を持っていた。そこで店長を務めた女性職人などが、新ブランドでもさまざまなアイデアを出したという。

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