アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はコナミスポーツクラブの「ニッポンの課長」を紹介する。
* * *
■コナミスポーツクラブ 人事部 人事企画グループ 統括マネージャー 山田麻優子(32)
身長157センチ。中学生からのめりこんだバスケットボールは、背の高くない山田麻優子=写真左端=に対し、常に「どう戦うか」を突きつけてきた。ゴール下では競り負けるから、3ポイントが狙える長距離のシュートを磨いたり、司令塔の役割を担ったり。
青山学院大学国際政治経済学部を選んだのも、強いバスケ部に入りたかったから。チームメートにはスポーツ推薦で入った人も多い。プレーでは劣ることもあるが、副キャプテンに。部員の日々の変化には敏感でいようと心がけ、気持ちがプレーに向いていないような人には声をかけるようにした。
「バスケはチームプレーなので、人間関係や気持ちがプレーに影響するんです。私自身は、練習に向かう姿勢は絶対に一番でいようと思っていました」
“負“をバネに戦ってきた姿勢は、仕事にも生きる。大学卒業後、2006年にコナミスポーツクラブに入社すると、受託開発部に配属。その3年前に地方自治法が改正され、スポーツセンターなどの公共施設を民間企業が管理運営できるようになり、会社が新たに取り組んだ事業を受け持った。
契約を獲得するために、何度も現場へ足を運び、どんな運営が求められているか、全国各地で声を聞き続けた。相手はベテランも多く、最初は相手にされないこともあったが、仕事に必要な知識を必死に勉強。次第に、耳を傾けてもらえるようになった。
そうやって時間をかけて手に入れた情報をもとに企画書を作り、コンペに挑む。「勝率」は約8割を誇る。
「相手の立場に立って、相手にとって最も良い提案を考え尽くすことが大事ですね」
この4月に、入社以来10年いた部署を離れ人事部に。部下は5人。人事制度の構築や採用、人材育成など、新しいフィールドでの「試合」が始まっている。
「走ることをやめたら負けてしまう。進化し続けていきたい」
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・大川恵実)
※AERA 2016年6月13日号