2006年春夏、「おなかを押さえる機能」がある男性用下着を売り出したところ好評。ヒップアップ効果のある「脚長メイクパンツ」も人気で、2千円台前半から3千円台後半までの価格帯の商品が予想以上の売れ行きを見せている。

 パーソナルトレーナーの山下雄士さん(30)は、「いつも体を鍛えられる環境にいたい」と大卒後、就職が決まっていた大手企業を蹴った。

●筋トレは裏切らない

「筋肉道」に目覚めたのは高校時代で、「ウェートリフティングで20キロ増→さらに鍛えて20キロ増→筋肉をつけすぎたので10キロ減」という変貌を経て、現在は身長171センチ、体重74キロ、体脂肪率13~14%。毎年ボディービルの大会に出場しており、大会半年前からの減量生活で10キロ減、体脂肪率一桁までもっていく。

 山下さんにとって、筋トレの魅力は「裏切らないこと」。

「正しい理論で筋トレをすれば、極限まで体を変えられる」

 鍛える筋肉は曜日で決めている。スポーツジムが休館日の木曜を休息とし、金曜は背中、土曜は肩、日曜は脚、月曜は胸、火曜は上腕二頭筋、水曜は上腕三頭筋。さぞストイックな生活かと思いきや「集中力が必要なので、筋トレは1時間程度。朝食に卵3、4個などタンパク質摂取は心がけているが、あとは食事も普通」。

 筋肉にかけるお金も、スポーツジム代とプロテイン代で月2万円程度。やみくもにいろいろ手を出す一般人のほうがむしろ高額だ。山下さん以外に話を聞いたマッチョもほぼ同意見で、あわせて「ファッション代もかかりません」。筋肉があればタンクトップやTシャツ一枚でも様になるからだ。山下さんの今の目標は「体重と筋肉をもっと増やす」。マッチョの中には、筋肉がつきすぎてジーパンがはけず、ジャージしか選択肢がない人もいるそうだが、1年後にはそうなっているかも。

●ビジネス同様瞬間勝負

 実業界には体育会出身者が多く、ビジネスの成功と筋トレは切り離せない。こう語るのは、M&Aのディールメーカー(主要プレーヤー)、古川令治さん(62)。日本長期信用銀行時代、30件以上のM&Aを実現させ仲介手数料30億円(当時)を稼いだ。古川さんはウェートリフティングマスターズ大会の現役選手でもある。

「ウェートリフティングは筋肉の作用4割、脳の作用6割。脳の神経の命令系統が強くなければ勝てない。だから精神力が非常に強くなる」(古川さん)

 ウェートリフティングは「1.5秒の勝負」。そのわずかな間に、何百通りの選択肢の中からベストのものを選び出す。それが戦略であり、勝つための駆け引きだ。ビジネスも同じ。逆境に陥った時、何百通りもの選択肢の中から解決策を探り当て、成功へと導く。

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