フリーライターとして活躍するBさん(42)にも、その傾向がある。
「昔から子どもが苦手でした。兄には2人の子どもがいて、妻の姉には1人、妹に2人の子どもがいるけど、正月に家族が揃うと、騒がしすぎてイライラしてしまう。子どもに振り回されながら過ごす彼らを見て、もっと夫婦の時間を大切にしたいと思った」
Bさんは取材のため、一年の約3分の1を海外で過ごす。三つ年上の姉さん女房は翻訳家として日々、夜遅くまで仕事をしているという。2人の共通の趣味は旅行。共にフリーランスのため、時間をつくっては2人で旅行に出かけるそうだ。
「結婚前から『この生活スタイルは変えたくないね』って、子どもをつくらない共通認識があった。だから、今では年数回に減った“夜の営み”もゴムを付けてやってます」
そう笑って話すが、決して軽い気持ちで子どもをつくらない選択をしたわけではない。
「僕は次男だから、田舎にある墓には入れない。子どもがいないので、年をとったら面倒をみてくれる人もいない。それを念頭に、ファイナンシャルプランナーと、家計について先々のことをシミュレーションしている。2年前にはマンションも購入した。将来、2人とも働けなくなったら、手放して生活資金の足しにしようと都心部の駅近物件を選択しました」
自分たちの生活スタイルを変えたくないと聞けば、子育てに奮闘中のイクメンには「お気楽な夫婦」と映るだろう。だが、考えたすえに子どもをつくらない選択をしたという人は少なくないのだ。
20代の頃に独身を全うする決断をしたCさん(44)も次のように話す。
「結婚も仕事も趣味も世の中のあらゆることは、途中でやめることができる。けど唯一、子育てだけは途中で投げ出すことができない。死ぬまで、責任を持つ覚悟を持って、子どもをつくることを決断した夫婦がどれだけいるのか?」
都内のITベンチャーで役員として働くCさんは毎週末、クルマを運転して一人で出かけるという。ここ10年間、恋人はいない。最近は「フォトロゲイニング」という、地図を片手にチェックポイントを回り、指定の風景写真をおさめるイベントにハマっている。