アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はアスクルの「ニッポンの課長」を紹介する。
* * *
■アスクル LOHACO事業本部 ライスセンター長 藤波佑太(34)
左右に畑が広がる道を抜けると、鉛筆を抱えた少年の青いロゴ、通称「アスクル坊や」が描かれた大きな建物が見えてきた。埼玉県三芳町にある3階建てのアスクルの物流センターだ。
アスクルと言えば、中小企業向けのオフィス用品の通信販売で知られるが、2012年10月、一般消費者向けに日用品や食料品を販売するネット通販サイト「LOHACO」を始めた。
この物流センターで扱うLOHACOの商品は約7万品目。その1階の隅に、なぜか精米所がある。出荷日に精米し、最短で翌日には手元に届く新鮮さが売りの「ろはこ米」の精米所だ。
藤波佑太は、今年10月の販売開始に先立ち、準備段階から関わった。
「米の選別から、精米機を入れるための契約、精米したての米を発送するためのシステムなど、手探りの毎日でした」
早稲田大学人間科学部卒業後、大手スポーツ用品店を経て、13年2月にアスクルへ就職。主にLOHACOで売るベビー用品や食料品などの仕入れに携わった。この11月からは、ライスセンター長として3人の部下を率いる。
大事にしていることは、人と人とのつながりだ。
「長い人生で、ここで偶然僕たちが一緒に仕事をするって、奇跡に近いと思うんです」
その原点はスポーツでの体験にある。小学5年生からサッカーを始め、大学からはフットサルも始めた。サッカーとフットサルで学んだチーム力が、今も藤波を支える。
日用品や食料品のネットでの通信販売はまだ勃興期で、どんなやり方が成功するのか、確立されていないと思う。
「僕らも勉強中です。壁にぶつかることもあるとは思うけれど、より身近な存在でありたいというLOHACOならではの強みを出していきたい」
(文中敬称略)
※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです
(編集部・大川恵実)
※AERA 2015年12月7日号