現場で働くすべての若者にスポットライトを(※イメージ)
現場で働くすべての若者にスポットライトを(※イメージ)

 フリーペーパー「ブルーズ・マガジン」は、土建の世界から都市生活者のリアルを描くまったく新しいカルチャー誌。現場で働くすべての若者にスポットライトをあてたいと意気込む。

「土建というと、田舎に高速道路を造る、みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、それは古いです。今は四六時中、新陳代謝を繰り返す都市生活者のためのものです」

 ストリートやアウトサイダーを描き続けてきた石丸元章(げんしょう)さんは今、土建という未知のジャンルにのめり込み、主筆としてカルチャー誌の運営全般を担っている。雑誌の名は「ブルーズ・マガジン」。「いま、土建の現場が輝く がむしゃら主義! 土木建築系綜合カルチャーマガジン」と表紙にはある。

「この業界も世代交代が進み、都市に住んで、働いて、遊ぶ若い人たちの土建の世界というものがあります。土建業界にももちろん雑誌はありますが、自分は土建で文学をやりたいと思いました」

 すべては、石丸さんと柳知進(やなぎとものぶ)さんの出会いから始まる。40人の仲間を率いて水道土木工事を請け負う柳工業を経営する柳さんは、土木職人のための、まだ誰もやったことのないカルチャー誌の構想を温めてきた。多くの編集者や広告会社と接触するも、ほとんど門前払い。しかし石丸さんには「まさにドンピシャ」(石丸さん)という手ごたえがあった。2人は意気投合し、柳さんは柳工業とは別に、雑誌制作のために感電社を立ち上げ、社主に就任する。

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