コーセー「化粧品を包む“魔力”」コーセー 商品デザイン部 デザイン二課課長 横倉尚子(49)撮影/写真部・外山俊樹
コーセー
「化粧品を包む“魔力”」

コーセー 商品デザイン部 デザイン二課
課長 横倉尚子(49)
撮影/写真部・外山俊樹
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 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

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 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回はコーセーの「ニッポンの課長」を紹介する。

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■コーセー 商品デザイン部 デザイン二課 課長 横倉尚子(49)

 百貨店でもドラッグストアでも、ひときわ華やかなのは、化粧品売り場。商品には、手に取るだけで新しい自分に会えるような“魔力”がある。

 雪肌精、エスプリーク、ヴィセ、ファシオ、エルシア……。横倉尚子は、これら化粧品大手コーセーのドラッグストアやバラエティーショップ向けブランドのパッケージデザインを手がけるデザイン二課の課長として、13人の職場を束ねる。

 コーセーが社内でのデザインにこだわるのには、理由がある。一つにデザイン担当がブランドのイメージづくりの段階から深くかかわれること。もう一つは、言葉で説明しづらい“コーセーらしさ”を意匠に落とし込めること。そして、他の部署と対等の立場でものづくりができることだ。外注だと、こうはいかない。

 デザイナーが素案を何十通りも考え、数本に絞り、3Dプリンターで模型を作製して検討、プレゼンする。

「ふだんは交渉ごとが苦手なんですが、『この案を実現したい』と思ったら、何度でも工場のスタッフにお願いし、伝わりにくい点は模型を使って根気づよく説明します。商品デザイン部を存続させていくためにも、こうした交渉ができるデザイナーを育てたい」

 1988年、多摩美術大学美術学部卒。入社以来、パッケージ一筋だ。

 価値観が多様化する今、商品のターゲットとなる層のニーズを読み当てるのは、そうたやすくはない。

「20代をターゲットにした商品だからといって、自分が若い子になったつもりで考えるのは無理ですし、そうする必要もない。それぞれのプロジェクトごとに、コンセプトや感覚をよく理解している人を探し出してきて、自分にないものを補うようにしています」

 多忙のため、趣味のダイビングは今はおあずけ。世の女性が思わず「パケ買い」する商品をめざしている。(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(ライター・安楽由紀子)

AERA 2015年8月17日号