横浜市内のマンションが傾いた問題で、杭工事を担った2次下請けのトップが頭を下げた。だが元請けや売り主が免責されるわけではない。
問題が明るみに出て約2週間。住民はあきれ返るばかりだ。
「報道以前の説明会では『傾いているけど、大したことはない』という姿勢でした。それが一転して、補修するとか建て直すとか、(旭化成の)会見でいきなり社長が泣き出したりとか……。本当に悪いと思っているなら、一軒ずつ謝罪に来るのが筋じゃないですか」(傾いた棟とは別棟に住む主婦)
横浜市都筑区の4棟からなる大型マンション。三井住友建設が元請けとして施工し、三井不動産レジデンシャルが2006年に販売を始めた。
異変が起きたのは昨年11月。住民が棟をつなぐ廊下の手すりがずれていることに気づき、三井不動産レジデンシャルに相談した。同社が調査すると、1棟の杭の一部が固い地盤(支持層)に届いていないことがわかった。
杭の施工担当は2次下請けの旭化成建材。4棟で全473本ある杭のうち、6本が支持層に届いておらず、2本は打ち込みが不十分だった。そればかりか、データの改竄も判明した。関与したのは、同社の現場責任者の男性社員。70本の杭について、杭が支持層まで届いたかを示すデータや杭のセメント量が偽装されていた。男性社員は「報告書を作る際に紛失したデータを偽装したが、不具合を隠すためではない」と話しているという。