仕事で、恋愛で、人間関係で。人生、落ち込むことは多い。問題はそこからどう立ち直り、やる気を出すかということだ。若くしてがんにおかされた山下弘子さん(22)の場合は、こういう方法で前向きになる。
2012年、大学1年の秋。胸の痛みに襲われて病院を受診すると、山下さんの肝臓に巨大ながんが見つかった。わずか19歳で「余命半年」という宣告。手術で重さ2キロもの腫瘍を摘出した後も、転移や再発、手術を繰り返しながら治療を続けている。それでも、自称「楽観的でポジティブ」な山下さんは明るくてよく笑い、“死の影”は見えない。落ち込むことはないのだろうか。
「本気で死を感じて絶望したことは、この2年半で4、5回しかありません。最近だと半年前。検査の結果があまり良くなくて、友人との旅行中に大泣きしました。こんなに幸せな時間を二度と体験できなくなるのは嫌だと思ったんです。
落ち込んでいる時は、周りの言葉は耳に入ってこない。なぜなら、自分で落ち込むことを選んでいるからです。でも、ふと立ち止まる瞬間がある。私の場合は、3時間ぐらい泣き続けた後、やっと冷静になれます。そのときに母が作ってくれる朝食だったり、友人からのメールだったり、周りにある幸せを感じられるようになるんです」