北京カウンシル国際オークション日本事務所代表左明貴子さん64年生まれ。中国・山西省生まれ。87年に来日。文化交流などを手がけ、11年にオークション会社を設立(撮影/編集部・野嶋剛)
北京カウンシル国際オークション
日本事務所代表
左明貴子さん

64年生まれ。中国・山西省生まれ。87年に来日。文化交流などを手がけ、11年にオークション会社を設立(撮影/編集部・野嶋剛)
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 日本で特に多く目にする外国人といえば、アジア系だろう。日本にいる華人(中国系、台湾系の人々)は、日本国籍取得者を含めれば、85万人に達し、最大の外国人グループだ。特に「新移民」と呼ばれる、改革開放以降に日本に来た中国人の存在感は大きく、個性派も多い。

6月中旬、東京・日本橋に近いビルの前に、トランクやリュックを抱えた人々が鈴なりに並んだ。中身は中国美術の骨董品だ。北京から派遣された鑑定士がルーペを取り出し、光を当て、真贋と価値を確かめる。

 オークション会社「北京カウンシル国際オークション」の日本代表を務める左明貴子(ひだり・あきこ)は、日本の中国美術品を中国に「回流」させるビジネスを営む。中国では美術品の収集熱が高まり、資金が業界に流れ込む。中国本土では戦争や内戦、文化大革命で文物が失われ、いい品が少ない。そこで日本にコレクターの熱視線が注がれているのだ。

 父親は中国政府職員で文化基金業務に携わっていた。画家、書道家との交流があり、家がサロンで文化は身近だった。留学先の日本で文化交流の仕事に取り組み、2011年にオークションの世界に飛び込んだ。仕事は、美術品を探し、持ち主にオークションへの参加をもちかけること。誰でも品物に愛着がある。手放さざるを得ない事情もある。絡まった心の糸を、じっくりと時間をかけ、ほどいていく。

「日本では驚くほど貴重な文物があちこちで見つかる。大切に守ってくれた日本人の愛情に感謝し、中国に帰していくやりがいのある仕事です」

(文中敬称略)

AERA  2014年7月14日号より抜粋