理研の小保方晴子ユニットリーダーらが英科学誌ネイチャーに発表した新型万能細胞「STAP細胞」の論文に対して、次々と疑義が指摘されている。調査委員会を設置した理研が3月14日、中間報告を公表した。この時点で、不正は確認していないが、論文作成過程で「重大な過誤」があったことを認めた。小保方さんたちが、論文の取り下げを検討していることも明らかにされた。
これまでの経緯を簡単に振り返ると、2月になり、インターネット上で、論文の画像データの一部に、加工したように見える不自然な痕跡があると指摘され始めた。当初、共同研究者の若山照彦・山梨大学教授は、単なるミスとしていた。理研も「研究成果は揺るがない」と自信をみせていた。周辺の研究者たちも静観していたが、3月9日ごろから雰囲気が急変した。
STAP細胞の万能性を示す証拠として使われたネイチャー論文の画像が、小保方さんが博士号を得るために早稲田大学に提出した2011年の論文の画像とそっくりだという指摘が、ネット上で出てきたからだ。11年の論文は、細いピペットを通した「骨髄の幹細胞」が、筋肉などさまざまな細胞になる能力をもつことを見つけたというもの。ネイチャーで発表した、マウスの細胞を弱い酸で刺激して作るSTAP細胞とはまったく違う論文だ。