中国のバブルに貢献した山西省呂梁市の石炭事業。その資金繰りの際に利用されたと思われるのが、「影の銀行」の代表的な手段である「理財商品」だ。日本でいうところの「財テク商品」で、「信託会社」と呼ばれるノンバンクを使い、銀行が融資しづらいハイリスクな石炭事業に投資する金融商品をつくる。銀行は販売窓口となってこの商品を富裕層などに売るのだ。
利率が高いために投資家から人気を集めてきたが、ここにきて不吉な知らせが入ってきた。山西省内最大の民営石炭企業「山西聯盛」が経営難に陥り、理財商品への元利払いが止まったというのだ。さらに呂梁市内の石炭会社「山西振富」が1月、事実上破綻し、これに投資していた理財商品30億元分の元利払いができなくなる恐れがあった。
中国信託業協会によると、信託会社が手がける金融商品の残高は、2013年末で10兆9千億元(約185兆円)。理財商品のような銀行以外の貸し出しである「影の銀行」の全体像は、正確には分かっていない。しかし、米大手銀行JPモルガン・チェースのエコノミスト、朱海斌氏は「個人的な考え」と前置きし、こう推測する。