経営難に陥った石炭会社「山西聯盛」。「影の銀行」への元利払いが滞っている=2月18日、山西省呂梁市郊外(撮影/朝日新聞中国総局・斎藤徳彦)
経営難に陥った石炭会社「山西聯盛」。「影の銀行」への元利払いが滞っている=2月18日、山西省呂梁市郊外(撮影/朝日新聞中国総局・斎藤徳彦)
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 山西省呂梁市は石炭で急発展した都市だが、今、世界の市場から別の意味で注目を浴びている。「影の銀行(シャドーバンキング)」のリスクが現実となった「震源地」としてだ。

 中国経済の急成長に合わせ、石炭価格が値上がりすると、鉱山主たちは巨万の富を築いた。数ある鉱山主のなかでも代表的な人物は、省内最大の民営石炭企業「山西聯盛」の創業者、邢利斌氏。融資を受けて積極的に事業を拡大してきた立志伝中の人物だ。

 ところが、石炭産業を取り巻く環境は昨年、暗転する。石炭の売り先である製鉄会社が、鉄鋼在庫がだぶついたため、生産を縮小させたのだ。さらに、微小粒子状物質PM2.5の排出源としても、石炭産業は悪者扱い。四面楚歌の状況で、構造不況業種になりつつある。

 こうして石炭価格が下がり始めると、値上がりを見込んで借金を重ねてきた山西聯盛のような会社は、急に資金繰りが苦しくなる。その借金の多くは、影の銀行の代表的な手段である「理財商品」を通じて流れ込んでいた。これは日本でいうところの「財テク商品」だ。

 リスクの高い石炭事業に、銀行は正規の融資を出しにくい。それでも、鉱山プロジェクトは当たれば利益も大きいから、放っておくのはもったいない。そこで「信託会社」と呼ばれるノンバンクを使い、このようなプロジェクトに投資する金融商品を組成させる。

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