参院選の開票状況を見守る志位和夫委員長。共産党の議席が上積みされるたびに表情が緩んだ(撮影/写真部・慎芝賢)
参院選の開票状況を見守る志位和夫委員長。共産党の議席が上積みされるたびに表情が緩んだ(撮影/写真部・慎芝賢)
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 安倍晋三首相率いる自民党の1強体制が完成した参院選(7月21日投開票)。他の政党がすっかり小粒になって存在感をなくす中で、唯一、鼻息が荒いのが共産党だ。

 6月の東京都議選で議席倍増した勢いをそのまま引き継ぎ、参院選の得票数は前回から実に4割増し。東京、大阪、京都の3選挙区で議席に食い込んだ。複数選挙区の議席獲得は、なんと15年ぶりだ。

 確かに、“民主党憎し”が爆発した今回の選挙で、有権者にとって、反自民党票の受け皿になったのが共産党だった、という見方は正しいだろう。しかし、テレビ画面のなかで当選を喜ぶ共産党の若手候補たちを見て、それだけではない何かを感じる。

 共産党らしからぬイマドキ風の女子にイケメン男子…あれ、いつの間にか、ずいぶんとあか抜けてないか? 生きた化石のような存在(失礼)だった共産党は明らかに変わり、社会の視線も明らかに変化しているのだ。

 この流れを理解するヒントは、長引く不況と3.11東日本大震災にある。就職セミナーや震災ボランティアなどで、若者たちを中心に、かつてのイメージから離れた共産党像ができつつあるようなのだ。

「昨年、就職セミナーを見に行ったんですが、若い人たちでいっぱいでした。その主催が共産党だというから驚きました。いまどきの大学生にとっては、共産党といっても何の関係もないみたいです」(全国紙記者)

 こうした変化は、党の「発信」にも表れている。参院選直前には、ネット選挙対応のため、党のホームページに「ゆるキャラ」満載の「カクサン部」をつくった。ここで主張を“拡散”しようというものだ。たとえば、「雇用のヨーコ」のキャラ説明は、

〈謎多き女性。サングラスとトレンチコートを常に着用しているが、コートの内にはムチを隠し持っているという噂も…。Sっ気たっぷりの自称25歳〉

 これが、「身内に喧嘩売っているだろ」「ワロタ」などとネット住民たちに大ウケ。

「もう、わけわからんことになっています。党内でも、どこに向かっているのか、と不安の声が出ていますよ(笑)。ただ、たとえば、風俗営業法ダンス規制反対に最も取り組んでいるのは、実は共産党で、EXILEのようなダンサーたちから相談を受けることもある。これまでのイメージと違うところから、若者とつながりができてるんですよ」(党関係者)

AERA 2013年8月5日号