自民党の圧勝に終わった先の衆議院選。注目を集めていた日本維新の会からは、反省や後悔をにじませる声が聞かれた。
少なくない若者から期待を寄せられていたのが橋下徹氏(43)率いる維新だった。「既得権益の打破」を旗印にしていたからだ。維新政治塾には、30代の若者が殺到した。佐々木理江さん(30)も塾に通い、今回の出馬を決めた一人だった。
だが、若い有権者の反応は鈍かった。街頭演説を立ち止まって聞いてくれるのはほとんどが高齢者。若者の政治参加というテーマに絶望しかけた瞬間もある。それでも終盤、若者目線を強調して訴えるようになると、ようやく手応えが感じられた。
「30年後の将来まで責任を持てるのは私たちの世代。私たちが日本を元気にするから、若者に投資をしてください」
反応が特に薄かった同世代の女性からも、声をかけてもらえるようになった。だが、そこで時間切れだった。
維新の場合、総選挙を前に平均年齢70歳超の旧「たちあがれ日本(太陽の党)」と合流したことで、若者からの支持を失った側面も否定できない。候補者の支援に駆け回った30代半ばの塾生は言う。
「太陽の党との合流で、今までの維新じゃなくなったのがつらかった。合流は維新への風を止めたどころか、既得権益を打破して世代間格差を是正しようと出馬した維新の若手がかき集めた比例票を、太陽の人たちに持っていかれた。ピュアな維新のままで戦いたかった」
※AERA 2012年12月31日・2013年1月7日号