「宮廷女官チャングムの誓い」「私の名前はキム・サムスン」「朱蒙」など多くの大ヒットドラマが輩出してきた韓国の大手放送局MBC(文化放送)が、日本初となる「MBC Ustreamスタジオ」を東京・新大久保の複合施設K-plus内にオープンした。10月19~21日、お披露目を兼ねたベント「K-FOOD&MBC DramaFestival」があり、3日間で1万人が訪れたという。
女性たちが待ち焦がれていたのが、オープニングゲストとして来日した韓流スターのイ・ジュンギだ。除隊後の初作品となったMBCドラマ「アラン使道伝」のプロモーションとして参加。インタビューの様子がインターネットで生中継された。
日韓関係は8月10日の李明博(イ・ミョンバク)大統領による竹島上陸以来、すっかり冷え込んでいる。韓流の聖地といわれる新大久保にもこの夏以来、「反韓」を掲げる街宣車やデモ隊が出現している。「危ないから新大久保は行くな」と、家族に止められた韓流ファンも。スタジオ開設のタイミングは最悪と言える。
だが、MBCの金在哲(キム・ジェチョル)社長(59)は意に介さない。
「この状態が長く続くとは思わない。日本で韓流ドラマは相変わらず人気があり、視聴者はついています。社内にもスタジオ開設への反対はありませんでした。日韓関係が良くない時期にこそ、文化交流は必要。『聖地』にできたこのスタジオを、両国の懸け橋にしたい」
新大久保のスタジオが軌道に乗れば、大阪、福岡にも新設する予定と言う。
「冬のソナタ」をきっかけに日本人の韓国観が大きく変わったように、文化で結びついた絆はそう簡単には切れない。
「ジュンギさんのためなら死んでもいい!」
そう公言する熱心なファンがたくさんいた。
※AERA 2012年11月5日号