できるだけ安く家電を買いたい──とはだれもが思うこと。とはいえ、「安物買いの銭失い」では意味がない。自身にとって使い勝手が良いものを、割安で買える時期がいつなのかを見定めたい。ネットが安いと過信するのも失敗のもと。そこで、業界や家電製品を熟知する専門家に、買い替えの秘訣(ひけつ)を聞いた。
「みんなが買うときに買わない。昨秋の消費増税でメディアが『増税前に買え』とあおり、テレビなどの価格は9月末に向けて上がり、10月に入って下がりました」
こう話すのは家電ライターの小口覺(さとる)さん。ネットサイト「価格.com」で個別製品の市場価格を見ると、テレビはそんな推移になっていた。昨夏発売のある大手メーカーの洗濯機は、当初の約24万円から市場価格が下がり、18万円台になったが、また値を上げて9月30日に21万円超まで上がり、10月14日に従来の18万円台まで下がったという。
「家電を買うのは壊れたときが7割くらい」と指摘するのは、家電業界のコンサルティングなどをする「クロス」の得平司代表。エアコンや冷蔵庫は夏の暑い時期に壊れることが多く、この時期の価格が最も高い。冷蔵庫が壊れると、すぐ購入する必要があるため、在庫があり、早く配送してくれる店に限られるなど、選択の余地が少ないという。
こうしたことから、「家電は計画的に買うこと」と専門家たちは口をそろえる。家電ライターの近藤克己さんは、買い替えの時期について、「10年ぐらい経ったら考えたほうがいい」と話す。特にエアコンや冷蔵庫、洗濯機などは10年前と新製品とで電気代や水道代がかなり違うと得平さんは指摘する。
省エネ製品買い替えナビゲーション「しんきゅうさん」というサイトがある。そこで年間電気代などを新旧製品で比較できる。たとえば、パナソニックのエアコンで冷房能力4.0kW(11~17畳/約18~28平方メートル)の製品は10年前と比べ、電気代が年間4290円も違う。冷蔵庫は容量401~450リットルで10年前に比べ6千~8千円前後も違う。新製品のほうが省エネになるため、得平さんは「買い替えたほうがいい」とアドバイスする。