慶應大学の三田キャンパス (撮影/多田敏男)
慶應大学の三田キャンパス (撮影/多田敏男)
大学の主な同窓会 1/2 (週刊朝日2020年1月24号より)
大学の主な同窓会 1/2 (週刊朝日2020年1月24号より)
大学の主な同窓会 2/2 (週刊朝日2020年1月24号より)
大学の主な同窓会 2/2 (週刊朝日2020年1月24号より)

 慶應義塾大の同窓会「慶應三田会」。他大にはないネットワークの広さと結び付きの強さはよく知られているが、その全貌はあまり知られていない。三田会はどのように機能し、なぜOB・OGにとって魅力的なのだろうか。

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 大学の同窓会で最強と言われる慶應義塾大の「三田会」について見てみよう。卒業年次や企業・職種、地域ごとに組織がありネットワークは広い。“鉄の結束”で母校の活動を支援するなど、慶應ブランドの躍進を支えてきた。

「『オリジナル4』の一角として、後輩が走る姿を見たかった」

 今年も熱戦が繰り広げられた新春恒例の東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。100周年で盛り上がったが、慶應大競走部(陸上部)OBの40代男性は寂しそうだった。第1回大会に出た4校のうち早稲田、明治、筑波(旧東京高等師範学校)のランナーは今年も走ったが、慶應大だけ姿がなかった。

 1994年以来出場は途絶えており、競走部は2017年から「箱根駅伝プロジェクト」に取り組む。5年以内に本戦に出場し、10年以内に優勝する目標だ。プロジェクトに携わる男性OBはこう力を込める。

「短期間では無理と言うOBもいますが、22年の本戦出場を狙っています」

 プロジェクトを推進するのが競走部OB・OGからなる「慶應陸上競技倶楽部」だ。人材や資金集めに手弁当で取り組む。

「慶應の強みはネットワーク。協力呼び掛けに競走部とゆかりがない80代OBが、数千万円の寄付を申し出てくれたこともありました。練習拠点の拡充も進んでいます」(男性OB)

 慶應陸上競技倶楽部のような個別の三田会はいろいろある。変わったところでは、慶應出身の教職員ら約20人による「早稲田三田会」も。それらを束ねているのが「慶應連合三田会」。大下亨治事務局長によると、国内外に880前後の三田会があるという。

「活動内容や運営方法はそれぞれに任されています。最近活発なのは不動産業界やベンチャー企業などの職種別の会。情報交換が仕事に直接つながる面があります。地域ごとの会は、退職後に余裕ができたシニアの会員が多いようです」

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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