シニアが中心となる地域ごとの会は盛況だ。千葉県浦安市のホテルで19年12月にあった「千葉県合同三田会」のパーティーには、県内16の地域会の約200人が集まった。参加者は60~70代が目立ち、思い出話に花を咲かせた。締めはもちろん全員で肩を組んで歌う応援歌「若き血」だ。実行委員の男性はすぐに打ち解けられるのが三田会のいいところだという。

「会社を辞めると同僚との関係が途切れてしまいがちですが、三田会のつながりは一生続く。これからも大事にしていきたいですね」

 シニアだからこその楽しみ方もある。囲碁や釣りなどの分科会やボランティア活動も盛ん。千葉県合同三田会のパーティーに参加した70代男性は、地元の浦安三田会が生きがいだ。

「先輩風を吹かす人はおらずみんな仲がいい。私はゴルフ分科会に参加していて、コースを回った後の飲み会が楽しみです」

『慶應三田会 組織とその全貌』の著者で宗教学者の島田裕巳さんはこう言う。

「現役生からOB・OGまで流れる慶應の気風が、三田会の結び付きの強さを支えています。見返りを求めずに助ける振る舞いが身についています。互いに協力したほうが、自分自身や仲間全体の利益になることがわかっているからです」

(本誌・池田正史、吉崎洋夫、浅井秀樹、多田敏男)

週刊朝日  2020年1月24日号より抜粋

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