「高齢で逃亡、証拠隠滅のおそれがない。あくまで法律や捜査規範にもとづいたもので、被疑者(飯塚元院長)でなくても同様の措置が取られるだろう」
事故後はじめて、公の場に姿を見せたのは事故から約1カ月後。警視庁目白署での聴取を終えて出てきたところだった。サングラスにマスク姿で、両手にそれぞれ1本ずつ杖を持ち、足取りはおぼつかない。報道陣に対し、小さな声で「申し訳ございません」と述べたという。
飯塚元院長は2017年に免許を更新。今年4月には新車を購入する予定だったという。捜査関係者によると、飯塚元院長は調べに対し、「パニック状態になりブレーキとアクセルを踏み間違えた可能性もある」と説明。当初の供述から一転した。警視庁関係者が言う。
「高齢者は間違いなく身体能力が衰える。免許の自主返納が思ったほど進んでいないのも今回の事故に関係しているとみている」
警察庁によると、75歳以上の免許保有者は年々増加、18年末時点で約563万人いるという。特に地方では、生活の足として車が欠かせないため「返納を強く呼び掛けづらい」(警察庁幹部)のが実情だ。
事故から7カ月が経つ先月12日、警視庁は飯塚元院長を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで書類送検。そして、車の機能に異常がないことが改めて確認され、アクセルとブレーキの踏み間違えが事故原因と断定した。(本誌・野田太郎)
※週刊朝日 2019年12月27日号