「記録を捨てちゃうというのは意味不明ですね。できれば毎年、違う方々を慰労しましょうというのが本来の趣旨でしょうから、名簿を廃棄したら前の年に誰を呼んだかわからなくなり、また同じ人を呼んでしまうかもしれない。それなのに、名簿を捨てちゃうというのは理解ができませんね」

 小渕優子氏の元秘書2人が、2015年に政治資金規正法違反罪で有罪判決を受けたが、ハードディスクにドリルで穴を開け、証拠隠滅を図った手口を思い出させる。

 ジャーナリストや弁護士ら約50人からなる「税金私物化を許さない市民の会」は、安倍首相が政治資金規正法や公職選挙法に違反しているとして、東京地検に刑事告発した。会の一人である講談師の神田香織さんはこう言う。

「『桜を見る会』の会場の新宿御苑は普段、アルコールは飲めない場所。だけど、安倍さんは自分を応援してくれる人、気に入った人たちに特別にふるまったわけですよね。森友・加計問題と同じで、安倍さんの友人、知人を優遇していたのが明るみに出た」

 小渕氏のとき、東京地検の動きは速かった。安倍首相への捜査も本気でやるのか。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2019年12月13日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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