死は必ず訪れる。あの世には何も持っていけないが、愛する家族に何かを残すことは可能だ。「死後の手続き」で得られるお金は意外とある。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏とジャーナリストの田茂井治氏が「死後にもらえるお金」を調査した。
【図表「死後にもらえるお金」】申請期限があるので注意しよう!
■未支給年金
年金は死亡した月の分まで 遺族は最大3カ月分請求可能
老後の年金は死亡した月の分まで受給でき、遺族が請求できる。年金は偶数月の15日に直前の2カ月分が支払われるので、例えば10月1日に亡くなった場合、遺族は10月15日に振り込まれる8・9月分と、12月に振り込まれるべき10月分を「未支給年金」として受け取る権利があるのだ。
「請求できるのは生計を同一にしていた遺族と定められています。配偶者がいる場合は子よりも優先されるので、子が代わりに手続きする場合は委任状が必要です」(社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小野みゆきさん)
請求手続きは最寄りの年金事務所に故人の年金手帳、通帳など振込先口座情報がわかるもの、身分関係の確認書類として戸籍謄本など、生計同一の確認書類として住民票を持参する。
亡くなった日と支給日が近いと、故人の口座にそのまま振り込まれることがあるが、遺族が受け取る権利がある年金であればそのまま受け取って大丈夫だ。当然ながら、この場合は受け取った分の年金は請求する必要はなくなる。
請求するのが故人と別居していた子などの場合、「生計同一関係に関する申立書」という書類を書いて提出する必要がある。
「故人に経済的な援助をしたり、定期的に会ったりしていた事実を申し立てる書類です。音信不通の関係では請求は認められませんが、普通に里帰りなどしていれば援助の額が少なくても認められることがほとんどです」(同)
未支給年金は、思わぬトラブルに発展することもあるので注意が必要だ。社会保険労務士の蔭山行伸さんは「最大3カ月分になる未支給年金は数十万円というまとまった金額になることもあり、相続人が分割するよう要求してくるケースがみられます」と話す。