リチウムイオン電池は環境分野への応用など、さらなる進化が予想されている。

「再生可能エネルギーで発電する社会システムをつくっていかないといけない。それによって発電所から出るCO2の問題が解決していく。そのためには蓄電システムが必要。電気自動車に積んでいる電池が蓄電機能を持つようになれば、太陽光発電などが普及しやすくなる」(吉野さん)

 京都大学工学部を卒業し大学院で学んだ。旭化成に入り、電池技術の開発責任者などを歴任してきた。1981年にノーベル化学賞を受賞した故人の福井謙一・元京大教授の「孫弟子」に当たるという。今でも名城大で後進を指導している。

 ノーベル賞の受賞候補者として、これまでも名前が挙がっていた吉野さん。会見では、科学の基礎研究や技術開発の必要性も訴えた。今回の栄誉で、技術立国日本の立役者としてさらなる活躍が期待される。(本誌・緒方麦、多田敏男)

※週刊朝日オンライン限定記事

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