これまでの取材で聞いていた固有名詞、工事での裏金問題などをぶつけても、巧みにはぐらかす。
まさにフィクサーのような受け答えだった。絶対に自分は表に出ない、不要なことは話さない、というオーラが全身からにじみ出ていた。いくら質問しても森山氏は「話すことないから」というばかり。
「寒いから、これで。私は影の町長じゃないよ。遠くからご苦労さん」
こう言うと玄関に向けて歩き出した森山氏。
だが、急に足を止め、記者に逆質問した。
「原発取材は福島の事故から(取材を)はじめたの?」
うなずくと意味ありげにこう続けた。
「原発はね、深いんだ。わからないよ、なかなか。いろいろあるから。ほんと、いろいろとね…」
「そのいろいろを知りたくて来たのですが…」
こう問いかけたが、ニタリと笑うだけで、何も答えず、家の中に消えた。
森山氏が繰り返した「いろいろ」。その中に関電幹部への資金提供が含まれていたのだろうか。(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事