現役復帰を発表した女子バスケ元日本代表の吉田亜沙美(C)朝日新聞社
現役復帰を発表した女子バスケ元日本代表の吉田亜沙美(C)朝日新聞社
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 男子日本代表のワールドカップ出場に盛り上がったバスケットボール界。NBAプレーヤーとなった八村塁らスター選手を擁し、21年ぶりに予選を突破しての出場に、多くのバスケファンの関心が開催地・中国へ向くなか、バスケ界に驚きのニュースが飛び込んできた。

 昨季限りで現役を引退した女子バスケ元日本代表の吉田亜沙美が、現役に復帰するというのだ。吉田が高校卒業から今年3月まで13シーズン所属してきた「JX-ENEOSサンフラワーズ」が9月2日、選手として追加登録することを発表した。8月24、25日には、日本代表OGとして、女子の国際親善試合の解説をしていた吉田。

 復帰を決断した背景について、次のようにコメントした。

「あらためて自分と向き合い、これまでの長きに亘(わた)る選手生活をゆっくり振り返る中で、色々なバスケの試合やプレーする子供たちの姿を見たときに、心の底から『バスケットボールが大好きなんだな』と思える瞬間が幾度となくあり、それが日に日に私の心を満たしていきました」

 吉田は東京成徳大高(東京)の3年生だった2005年、唯一の現役高校生として初めて日本代表入りし、アジアカップ、ワールドカップなどで司令塔として活躍してきた。16年にはリオ五輪に出場し、主将としてチームを牽引(けんいん)。8強入りを果たし、自身はアシスト王の座を手にした。国内のWリーグではルーキーオブザイヤーを皮切りに、08年から19年のリーグ11連覇に貢献し、15年からは主将も務めていた。

 今年3月22日、イチローの引退会見の翌日に流れた吉田の引退の知らせは、バスケットボールファン、とりわけ女子のバスケ経験者に衝撃を与えた。身体能力が高く、ダブルクラッチやノールックパスができ、速攻のロングパスなどでも観客を魅了する吉田は、多くのバスケットボールプレーヤーにとってあこがれの存在だった。

 国際バスケットボール連盟(FIBA)も反応し、SNSで吉田の代表戦プレー映像を添えて発信するほどだった。25日の引退会見で、吉田は引退理由を次のように話していた。

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色んな覚悟を持って戻った