スマホ決済は見逃しやすいので注意が必要だ
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あなたは大丈夫?主なデジタル資産のチェックリスト (週刊朝日2019年9月13日号より)
あなたは大丈夫?主なデジタル資産のチェックリスト (週刊朝日2019年9月13日号より)
日本の預金口座の相続手続き (週刊朝日2019年9月13日号より)
日本の預金口座の相続手続き (週刊朝日2019年9月13日号より)

 家族が亡くなったとき、金融商品や銀行口座などの相続に戸惑う人も多いだろう。相続の現場で今、問題になっている“デジタル資産”もその一つだ。ネット証券などの相続財産に遺族が気づかないことも可能性もある。そうした金融資産の注意点と対処法をライターの森田聡子氏が取材した。

【あなたは大丈夫?主なデジタル資産のチェックリストはこちら】

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■デジタル資産

 パソコンやスマートフォンの中に残されたメールの履歴や写真、あるいはSNSなどの「デジタル遺品」が社会問題化している。デジタル遺品の中には、相続財産となる「デジタル資産」も含まれる。本人がIDやパスワードなどの手がかりを残していないと、家族はデジタル資産に気づかず、死後に放置されてしまう可能性もある。

 60代で急死した男性の家族が骨を折ったのは、男性が利用していたネット証券の取引記録を探すことだった。日常の会話から、男性が投資信託の取引を行っていたことは推察できた。しかし、金融資産関連の書類や、残された郵便物などを調べても、それらしきものが見当たらない。近年は取引報告書などのペーパーレス化が進み、投資信託の売買に関するやり取りの一切がパソコンの中で完結してしまうのだ。

 とはいえ、「恐らく、このネット証券だろう」という見当はついていたので、息子が時間をかけてさまざまなIDやパスワードを試してみた結果、なんとかログインすることができ、事なきを得たという。

「相続発生後にネット証券に問い合わせてわかる場合もありますが、そもそも、家族は投資をしていたことすら知らないかもしれません。自分に何かあったときに備え、最低限、会社名とIDくらいはわかるようにしておく必要があります」と言うのは、三菱UFJ信託銀行相続事業室担当部長の小谷亨一さんだ。

「パスワード管理用ノートのようなものに書いておく、あるいは紙に書いて貸金庫に入れておくという方法もあります」

 ネット証券やネット銀行のほかにも、デジタル資産となり得るものは多い(チェックリストを参照)。

「例えば、暗号資産(仮想通貨)も、頻繁に取引できるものに関しては評価をして相続財産に組み入れようという動きがあり、残高証明書も出るようになっています」と小谷さん。

 見逃しやすいのは、Suica、楽天Edyなどの電子マネーやPayPay、LINE Payといったスマホ決済(QRコード決済)だという。

「いろいろ持つより、使用頻度が高いものに絞りましょう。そのうえで、家族にも『こういうのを使っているよ』と“見える化”しておくことが大切です」

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