みなさん、キム・ヨナを知ってますよね。2010年のカナダ・ヴァンクーヴァー・オリンピックのフィギュアスケート金メダリストで、2018年平昌(ピョンチャン)オリンピックの最終聖火ランナーをつとめた韓国スポーツ界で人気№1の女王です。
彼女は、もともと音楽の才能が抜群だからフィギュアの女王になったので、歌唱力も一流で、反政府ブラックリストを作成した朴槿恵(パク・クネ)前大統領とは“犬猿の仲”だった。今年3月1日、韓国民にとって一世紀の歴史を振り返る重要な記念日に「3456(スリー・フォー・ファイヴ・シックス)」という曲を彼女が素敵な声で歌ったのはそのためだ。
今年の100年前、1919年3月1日に、朝鮮を植民地化する日本に憤激する「三・一独立運動」が起こって、この日が現在の韓国の実質的建国記念日とみなされているのである。3月1日から5月まで激烈な反日運動が朝鮮全土に拡大したのだが、日本の原敬(はら・たかし)内閣が軍隊を派遣して徹底的に弾圧し、7509人が大量虐殺されて独立運動は鎮圧されてしまった。朝鮮人死者は、朝鮮各地の記録を合計した正確な数字である。日本人は、実におそろしいことをした民族だ。
キム・ヨナの歌の最初の「3」が、この三・一独立運動の3である。「4」は、国家保安法の拷問国家を生み出した李承晩(イ・スンマン)政権を打ち倒すため1960年4月19日に起こされた学生革命運動の「4」月である。「5」は、光州虐殺事件の1980年「5」月18日で、「6」は盧武鉉(ノ・ムヒョン)と文在寅(ムン・ジェイン)が投獄された1987年の「6」月民主抗争だ。つまり3456の数字は、韓国の独立運動と、本稿で紹介してきた民主化を実現するために韓国民が命を懸けて闘った貴重な歴史を物語っていた。
そのような完全に政治的な歌をフィギュアスケート界の女王が歌うところに、韓国人の反骨精神を感じるのは、私だけではあるまい。その時、日本のテレビ報道界は改元なんかで騒いでるんだからね。