「九州大学の磯辺篤彦教授らが日本海を中心に調査したところ、海水1立方メートル当たり3.7個が見つかりました。北太平洋の16倍、世界の海の平均と比べても27倍多い数です。海流の影響でアジア諸国から流れてくるものが多い。このほか、日本の南方やハワイ北東の太平洋上にも、同じ理由から集まりやすいと言われています」

 18年に受け入れを禁止するまで、世界のプラごみの半数をリサイクル資源として輸入していたのが中国。次がマレーシアということも関連がありそうだ。

 国内でも、多くのMPが発生している。年間のプラごみ約900万トンの全てを、リサイクル、もしくは焼却・埋め立て処分しているにもかかわらずだ。

 東京理科大学理工学部の二瓶泰雄教授(土木工学)らが15年から国内29河川36地点を調査したところ、すべての河川から見つかった。

 最も多かったのは千葉県の手賀沼に注ぐ大堀川で1立方メートル当たり13.58個。次に鶴見川(9.69個、神奈川)、利根川(8.68個、埼玉)、緑川(8.25個、本)と続く。首都圏を流れる荒川(4.6個、埼玉)や江戸川(3.41個、千葉)でも多かった。

 二瓶氏は「採取場所が少ないので、多く見つかった河川のMP汚染が大きいとは一概に言えない」と断りながらこう説明する。

「たくさん見つかった場所は市街地が多く、人口密度とMPの流出量に関連性があることがデータとして明らかになりました。日常生活で使うプラスチック製品がMP化し、川へ流れ込んでいるのです」

 川に流れるごみというとポイ捨てを連想してしまうが、それだけではないという。

「家の外に放置されたバケツや洗濯バサミが紫外線で劣化して細かく砕ける。あるいはごみ収集場所の散乱防止ネットをカラスが剥がし、散らかったプラごみがMP化することもあります。こうしたものが雨水とともに側溝に入り、川へたどり着く。いったん、川へ入れば、沈まない限りは流れに乗って海や湖へ運ばれます」

 実際、川のごみにはプラスチック製品が多い。

 国土交通省の委託を受けて荒川のごみ拾いを続けるNPO法人の「荒川クリーンエイド・フォーラム」。ここが昨年回収した27万個の散乱ごみを分類したところ、数が多かった上から10種類のうち、七つがプラスチック製品だった。ペットボトル、食品のポリ袋、プラ容器、発泡スチロールなどが上位を占める。

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