日本消費者協会が3~4年ごとに実施している「葬儀についてのアンケート調査」によると、葬儀にかかる費用の全国平均は03年の236万円から下がり続けて10年に初めて200万円割れに。最新調査の17年は195万円となっている。

 一方で、葬祭情報サイトの「いい葬儀」を運営する鎌倉新書の17年のアンケートによると、実際に行った葬儀のうち家族葬の比率が15年調査から6.6ポイント増加して38%に達し、一般葬が同6.1ポイント減の53%になった。

 さらに、「参列者20人未満」の葬儀が13年調査から10ポイントも増えて24%に達し、「20~39人」が21%、「40~59人」が18%と続いている。小規模葬儀が半分以上を占め、なおも増加傾向にあることを示しているのだ。

 実際、都内で葬儀屋を営む経営者も「昨年は火葬のみの直葬が2~3割、参列者30人未満の家族葬と言われる葬儀が半分近くを占め、100人以上の一般葬は1~2割程度だった」と話す。

「近年亡くなられている方は、バブル期に盛大な葬儀を目の当たりにしてきた反動で、質素な葬儀を希望する傾向にあります。寿命が延び、老後資金が増加して経済的な余裕がなくなってきた影響もある。また、高齢化によってご友人も亡くなられてしまい、自然と身内だけの小規模な葬儀を選択する傾向もある」(吉川氏)

 ただし、葬儀業界には思わぬ歪みも生じてきているという。

「『小さなお葬式』などをマネる会社が続々と出てきた結果、競争が激化しました。後続する企業の中には、格安を売りにするあまり、『当初の見積額と違う』といった料金トラブルが発生しやすくなっている。規模の小さい会社だと紹介できる提携する葬儀屋が少ないため、遠隔地の葬儀屋しか紹介できず、利用者の要望に応えられないというケースもある」(前出・都内の葬儀屋経営者)

 ビジネスモデルをモノマネする企業の乱立によって、トラブルが生じやすくなったというのだ。2年前に大阪で父親の家族葬を実施した40代の男性も次のように話す。

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