
4月1日、「元号に関する懇談会」の有識者の一人に選ばれた国際政治学者・宮崎緑氏。SNSで話題になったその着物姿を、ファッションデザイナーのドン小西氏がファッションチェックした。
【写真】ドン小西が「50代の料亭女将」と驚いた浅田真央の着物姿
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大島紬も災難だよな。世界三大織物のひとつにも数えられるのにさ。テレビでこのおかしな陣羽織姿を見て、この人どうしたんだろうと心配になった人はいても、カッコいい!と思った人はいないって。それどころかあの格好が大島紬のイメージになりかねないもんな。
しかし、この着物の柄は素晴らしい。春らしい色や柄が縦縞になった凝った絶品だよ。なのに、襟の黒とのコントラストが強すぎだって。男物の陣羽織っていうのも謎だし、髪形とも合ってない。なんか奇妙で、うさんくさい教祖様みたいだもんな。あたしは呉服屋の息子だし、着物は大好き。でもどんなにいい物でも、いい物に見えなきゃ意味ないっていう、いい例だな。
新元号だって、歴史的な意味だの、音の響きだのっていう話ばっかりで、有識者の中に漢字の形をビジュアルとして見た人はいなかったのかね。例えば図形として令の字を見ると、先細りだし右肩下がりだし。デザイナーの目には勢いとか発展のイメージが感じられないんですけど。ま、この方にデザインやビジュアルの話なんて、通じないとは思いますが。
(構成・福光恵)
※週刊朝日 2019年4月19日号