作家・室井佑月氏は、日本の貧困問題、東京五輪のお金の問題について意見を述べる。
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おにぎりを一つ持っている。自分はお腹が空いている。それでも、目の前に自分よりお腹が空いていそうな人がいたら、渡すよね。それが無理でも、おにぎりを半分こするよね。
大きな話になると、人はなぜそれができなくなるのだろうか。
この国の7人に1人が貧困だといわれている。なぜ、そんなことが起きるのか。
この国は超少子高齢化が進んでいる。労働力が足りず、移民に頼ろうとしている。労働力が足りないわけだから、失業者は少ない。
つまり、働かないから貧しいわけじゃない。働いても十分な賃金がもらえない。
安倍首相が「アベノミクスで失業者は減った」という。けど、非正規の低賃金で働く人が増えただけ。
安倍政権になってから、自動車産業などの大手企業が、内部留保をやたらめったら貯めるようになった。人件費を抑えるだけ抑えていることも、儲けにつながっているのだろう。
ほんとにそれがいいことなのか。というか、そのやり方が正解なのだろうか。
非正規の低賃金で働く人たちは、生きていくだけで精一杯の人が多い。精一杯なのだから物は買わない。子どももつくらない。
大企業が内部留保を貯め込むのは、この先、会社が良くなると想像できないからだろう。
結局、今のやり方で、幸せな未来を想像できている人なんて、この国にはいないんじゃないかと思う。
たとえば、開催費用が3兆円を超えるともいわれている東京五輪についても、おなじようなことを思う。
なぜ、人件費をボランティアで浮かそうとする?
去年、社民党の福島瑞穂さんが、疑問を投げかけていた。東京五輪の人材派遣を一手に任されている、パソナの契約金はいくらなのかと。民間企業であることを理由に、誰もその問いに答えなかった。
パソナがボランティアみたいな価格で仕事を請け負ったなら、堂々と答えていただろう。いえない理由は、我々が考える以上に契約金が高いからじゃないのか。