回転ずしチェーンのくら寿司が、3月1日から変わり種のメニューを販売開始した。その名も「KURABURGER」。回転ずし業界初のハンバーガーだ。
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全国発売に先駆けた2月25日、東京・渋谷のセンター街に期間限定店舗をオープン。通りを多くの若者が行きかう中、店頭では法被を着た呼び込みが大きな声で宣伝し、レジ前には客が列をなしていた。
米粉と黒酢を使ったバンズに、具材は「ミート」と「フィッシュ」の2種類。ミートは、大手ハンバーガー店のものと遜色ない“王道”の味だが、フィッシュは特徴的だ。白身魚と青魚15種から選んで“ブレンド”した具材は一口ほおばった瞬間に魚の風味が口の中に広がる。トッピングのガリは酸味がアクセントになり、一般的なハンバーガーでいうところのピクルスの役割を果たしている。本業はすし屋であるというプライドを感じさせる組み合わせだ。価格は各270円(税込み)。
「渋谷に遊びに来たついで」で友人と訪れた20代の女性客は「これまでくら寿司に行く習慣はなかったけど、選択肢に入るかも」と話した。くらコーポレーションの広報担当・辻明宏さんは手ごたえを感じていると話す。
「期間限定店舗では1日1千食を目標にしていましたが、客足は上々でした。渋谷は若い客層が多いので、SNSでの効果に期待したい」
くら寿司といえば、これまでもすし屋とは思えないサイドメニューの充実で他社をリードしてきた。
「2012年のラーメンを皮切りに、コーヒーや牛丼など、サイドメニューの拡充を図ってきました。生ものが苦手という人が来店しても楽しめる店づくりが理想です」(辻さん)
消費者のニーズが多様化する中、“すし一本”で勝負するのではなく“ファミレス”化しているのだ。
チェーン店経営に詳しい店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は、「サイドメニュー拡充は昨今のトレンド」と指摘する。
「回転ずしはメニューがすしだけで、差別化がしにくい。魚価の高騰もあり、サイドメニューに走らざるを得ないのが実情です」