結局、殺したように見せかけて、みんな無事ってパターン。コレ、「はい、今死んだ。今、君は死んだよ。今、生まれ変わった。もうなんでもできるよ!」っていう松岡修造メソッドなんじゃないか。

 だいたい柊先生、何者なんだ。一見さえない美術教師なのに、「こう見えても昔はアクション俳優を目指してたんだ」とか言って、そのうえ不治の病って、キャラ設定が迷子状態。

 校内のそこかしこに爆弾や監視カメラを仕掛けるなど、理系の知識もあり。誰も知らぬ間に教室の窓を強化ガラスに交換してたり、美術準備室の床には階下につながる穴を開けてたり。

 お前は一人工務店か、リフォームし放題か。「最後の授業」のために、ここまで周到な準備をしたあげく、言ってることは修造なんだから。そんなの普通のHRでやれるでしょうが!

 この調子でいくと、事件解決後はきっと、生徒一人ひとりに先生から言葉を贈る涙と感動の人質解放式。

 柊八先生、略して「ひい八つぁ~ん」と涙ながらに駆け寄る生徒たち。みんなで先生を胴上げだ。さよならだけでは寂しすぎるから、柊八先生も嗚咽しながら叫ぶだろう。

「お前たちは、腐った人質なんかじゃない!」

週刊朝日  2019年3月1日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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