北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
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イラスト/田房永子
イラスト/田房永子

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は「一方的な関係」について。

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 日曜の夜、母と食事をした。たまたま入った店は、敷居は高くはないが老舗の料亭で、ほぼ100%男女の2人組で席が埋まっていた。私たちが通された座敷の両隣も男女2人組で、狭い空間、どうしたって会話は聞こえてくる、目の端に姿が入ってきてしまう。母との会話に集中!と思ってはいたが、どちらの2人組も、ちょっと強烈だった。

 一組は、飲み屋の従業員と馴染みのお客さん。50歳くらいの女性が、派手な幾何学模様のセーターを着た70代半ばくらいの男性のお世話(ビールついだり、料理をとりわけたり)を忙しなくしながら、オレ話を聞いている。オレは金を持っている、昔の映画は良かった、オレは成功した、昔のディスコは良かった、オレは女にもてる……そんな話が延々と右耳から入る。

 もう一組は、黒のスーツを着た女子大学生と40代くらいのサラリーマン。こちらの会話も100%オレ話である。昔のテレビは楽しかった、オレは頭がいい、昔のお笑いは良かった、オレは社会的地位が高い……。女性は「そうなんですねー、へぇ、高木ブー、あ、名前だけ知ってます~、ふふふ」と表面的な薄笑い。

 両隣の男女組。世代は違うけれど、どちらも関係性や話題の構成が同じだよ~、いったい女子大学生とオジサンの関係って何?と、刺し身をつまみながら、母との会話に集中しようとして気がつく。あ、これがもしかしたら「パパ活」なのか。

 パパ活。男性が女性を経済的に「支援」する名目で行われる現在の「愛人バンク」。一般的には、男性はパパ活運営サイトに会費を払い、女性はパパ活運営会社と面談し、容姿などでランク付けされ、セックスOKかNGかなどを記した上で男性たちに紹介される。パパ活サイトでは、「女性は気軽にお小遣い稼ぎ、男性は年齢に関係なく楽しい時間が過ごせます」というように、まるで両者がウィンウィンな関係であるかのように紹介されている。

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北原みのり

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北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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