

俳優としても監督としても、各界から評価の高い奥田瑛二さん。映画「洗骨」では酒びたりでひきこもりの父親を演じました。そんな奥田さん、家庭ではどう思われているのでしょう。作家の林真理子さんが迫ります。
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林:奥田さんも、自分の映画をまた撮りたくなったんじゃないですか。
奥田:いま準備中で、今年撮る予定です。僕の場合、役者の仕事で4~5年忙しくしてると、「あいつ、そろそろ撮るぞ」と思われるみたい。
林:楽しみです。さて、去年いちばん話題になったのは、秋篠宮家と奥田家でしたね。奥田家の皆さんは、それぞれすごいご活躍で。
奥田:ですね(笑)。サクラ(奥田さんの次女で俳優の安藤サクラ)を筆頭にして、(夫の)柄本佑君も。
林:昔、私が住んでたところが奥田さんちと近かったから、奥さんの和津さんに毎晩ごはんをご馳走になってた時期があるんですよね。
奥田:そうだ、林さんはうちによく遊びに来てくれてたからね。
林:和津さんがすごくおいしいごはんをつくって奥田さんが帰るのを待ってると、まだ売れてない奥田さんが酔っぱらって帰ってきて、それでいて威張ってた。なのに和津さんはすごく気を使ってて、「なんでこの人、こんなに奥さんに威張ってるんだろう」と思って不思議だった(笑)。その後どんどん売れてきて、おばあちゃま(和津さんの母親)が「奥田がこんなになるなんて」とうれしそうにおっしゃったの覚えてますよ。あのころはいい男の代表としてCMにもバンバン出ていて。
奥田;そう、そう。
林:でも、稼いだお金はみんな飲み代に消えちゃったんでしょう? 誰かが桃子さん(長女で映画監督の安藤桃子)に「奥田はあのころ何億って稼いでたんだと思うけど。ほんとに家にお金を入れてなかったのか?」って聞いたら、「私が知る限り一銭も入れてません。全部飲んじゃいました」と言ったって。
奥田:ええ、そうですね。田園調布に大邸宅が2軒か3軒建つぐらい飲みまして、全部おしっこになりました(笑)。和津さんが一、十、百、千……と桁を数えていって、七つか八つ目のゼロを数えたときに「えっ」と思って、それが飲み屋さんの請求書だったって。
林:えーっ! 和津さん、何も言わずにそれを払ったんですか。