三浦大知 (c)朝日新聞社
三浦大知 (c)朝日新聞社

「若い世代の、しかも人気のある方が歌ってくださるので、同じ若い世代にこの作品を知っていただけるいい機会になります。とても感慨深いです」

 こう話すのは、ソプラノ歌手の鮫島有美子。

 2月24日に東京・国立劇場で開かれる天皇陛下在位30年記念式典で、人気歌手の三浦大知と共に記念演奏することがこのほど決まった。「感慨深い」とするのはほかでもない。三浦が披露する「歌声の響」を最初にCDブック化したのは鮫島だったからだ。

「歌声の響」は、天皇陛下が詠まれた歌に皇后さまが曲をつけられた唯一無二の楽曲だ。1975年に両陛下が沖縄を初訪問されたさい、ハンセン病の療養施設を訪ねられた。そのときの入所者らとの心温まる交流の思い出が詠まれている。

 ご訪問回数が11回に及ぶなど、両陛下が沖縄に特別の思いを抱かれていることは広く知られている。また、両陛下は日本のすべてのハンセン病施設の入所者に会われてもいる。しかも、「歌声の響」は沖縄周辺の島々に伝わる特有の「琉歌」という形式で詠まれており、まさに両陛下の思いが何重にもつまった作品なのだ。それだけに鮫島は三浦版「歌声の響」が楽しみでならないようだ。

「私たちの活動とは違う層の人たちに興味をもっていただけます。また、話題になると歌の意味や歌に込められた思いがテレビなどで伝えられるので、その面でも両陛下のお気持ちがより広まっていきます」

 鮫島のエールに応えるように、三浦はこうコメントしている。

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