30代のときに、イオカステの娘・アンチゴーヌを演じた。年齢を重ね、役に対する理解も深まり、俳優業がさらに面白くなっているのでは、と訊ねると、「損な部分もあれば得な部分もある。プラスマイナスゼロです」という答えが返ってきた。
「今ある状態、その時代時代の見た目と体力に合った役に出会って、自分の役割をやり尽くすことが一番大事だと思います。それができれば、過去に執着しないで済む。オイディプス王じゃないですが、私は、人生に降りかかることはすべて神託だと思っているんです。だからすべてを受け入れて、自分の糧にする。この作品に取り組むことで、私の中の活火山が、正常に活動を始めていることが、今は何より嬉しいです(笑)」
(取材・文/菊地陽子)
※週刊朝日 2018年12月21日号