満員の店の中は思ったより男性2人組が多い。女性3割、男性7割くらい。競争率はかなり高そうだ。ナンパ成功を祈ってビールで乾杯してから、周囲を見渡してみた。女性ペアは4組。まずは隣の席の20代可愛い系女子に話しかける。
「隣り合ったのも何かの縁。一緒に飲みませんか?」
一瞬顔を見合わせた後、うなずき合って、「私たち、もう帰るところなんです」って、まだだいぶ食事が残っているけれどね!
帰り支度を始めた2人に取材で来た旨を告白し、話を聞くと、彼女らは20代事務職で、この店には時々来るという。
「ここがナンパの街だとは知ってますよ。今日はそれ目的ってわけじゃないけど、いい出会いがあればとは思っています」
「希望は背が高い同世代のカッコいい人。今日も3人に声を掛けられたけど、希望どおりの人はいなかった」
コリドー街は2~3年前から「大人の出会いスポット」として話題になっており、人気テレビ番組で取り上げられて広く認知された。この街に飲みに来るハイスペックなサラリーマンと出会うために、若い女子たちがオシャレをして集まるようになった。
「でも今は、ナンパ待ちの女性が集まる場所として、一流とはいえない男たちも集まるようになった。おかげで、毎週金曜の夜になると、歩くのも困難なほどの人だかりになる」(コリドー街のバー店員)
気を取り直して、入店したばかりのいかにも仕事ができそうな2人組に注目。ワインをボトルで注文しているところを見ると、長居するつもりなのだろう。
「すいません。あっちの席で一緒に飲みませんか」
後ろから声を掛けると、オジサン2人組をちらりと眺めて「いいですよ」とニッコリ笑うではないか。
「でも、少し2人だけで話した後でもいい?」
「もちろんです! あちらでお待ちします」
なんと4組目でOKをもらってしまった。席に戻ったオジサン2人はさっそく祝杯。ところが、待てども待てども彼女たちの話は終わらない。手持ち無沙汰になった我々は、他の女子たちに話しかけてみる。
まずは窓際で楽しそうに話しているモデル風の高身長の20代女子2人を誘う。
「え~。何で私たち? 遠慮しておきます」
めげずに、カウンターで食事をしている素朴な感じの20代半ばの2人。
「声掛けていいですか」
アプローチの仕方を変えてみたら、これが失敗。
「もう声掛けてんじゃん!」と突っ込まれ、「無理だから!」と一蹴された。