「彼は憲法についてほとんど発言をしていない。憲法を語ることは、国にどう向き合うかというスタンスを明らかにすること。彼がいずれ国を担うとき、憲法、外交、安全保障について何を語るのか。課題だと思う」
石破氏が地方創生など内閣府特命担当相(14~16年)だった当時、進次郎・内閣府政務官と一緒に副大臣として働いた平将明衆議院議員はこう語る。
「進次郎さんは大学を卒業し、米国留学して、父親の秘書になった。感性もいいし、声もいいし、短い言葉で人の心をつかむのは天才的。しかし、自分の力だけで最終責任を持ってやり切った経験が少ないのではないかと思います」
青年局長、政務官、農林部会長、筆頭副幹事長としての進次郎氏のパフォーマンスに角谷氏はこう警鐘を鳴らす。
「発言が慎重になったり、態度を表明せず、タイミングをずらして物申すことが癖になると、4回生で筆頭副幹事長までやっているのに『見損なった』という人も出てくる。影響力がある分、本人も慎重になるのは当然なんだけど、それをハッキリしないと『権力におもねった』と言われかねない。一挙手一投足で揚げ足を取られ、本人も悩むでしょうが、それは国民の期待の表れでもある。だが、人気先行は危ない。ぶれるとたたかれるし、世間は飽きやすいので、時代を読み込む力が必要です」
今後、最も大きな課題はブレーンづくりだという。
前出の中山議員はこうアドバイスする。
「マスコミの反射をうまく使えるのが彼の最大の強みですが、できるだけ早く身を固めてほしいと思っています。ただパパラッチが追いかけ回すと、恋愛すらできないので温かく見守ってあげてほしいです。結婚して、子供を育てながら社会人としての生き方に責任や忍耐、寛容の精神がさらに伴ってきます」
進次郎氏がメディアでロングインタビューをほとんど受けないことは有名だが、そこに弱点が隠されているという。
「農林部会長時代に専門紙のインタビューなどがありましたが、ほとんどはぶら下がり(囲み会見)でのワンフレーズ発言。単独インタビュー記事を見てもそんなに長いものではなく、中身はそれぐらいなのかと思ってしまいます。そういう意味では、いまだ自分の一丁目一番地の政策を模索中という感じでしょう」(角谷氏)
進次郎氏が45歳までに首相になるための闘いには、どんな試練が待ち受けているのだろうか。(本誌・上田耕司、田中将介)