しかし、安倍内閣では中選挙区制を経験した議員はほとんどいなくなり、ほとんどが安倍イエスマンになってしまった。これが大問題なのだ。
だからこそ、安倍首相は、神経が緩んで、森友・加計事件などを起こしてしまったのである。
森友問題で、安倍首相は国会で「もしも私や妻が、森友学園の認可や土地売却などに関わっていたら、首相も議員も辞める」と表明し、そこで財務省は慌てて決裁文書を改ざんしたのであろう。しかも朝日新聞の報道がなければ、財務省は改ざんを隠蔽するつもりだったのである。こんなことは民主主義を標榜する国にあってはならないことだ。
それを最高責任者である財務大臣は、「なぜ改ざんしたのか、わかれば苦労しない。わからないから苦労しているのだ」などと言い、「こんなのは個人的な行為で、財務省には責任がない」とも言っている。かつての自民党ならば、当然辞任せよとの声が強まるはずだが、そういう声がまるで出てこない。
また、安倍首相は憲法を改正すると強調している。だが、9条の1項、2項には手をつけず、自衛隊を明記するのだという。これでは明らかに矛盾で、自民党のほとんどの議員は矛盾だと捉えているはずである。だが、そういう声は生じなくて、論議も起きない。
私は、これは自民党の劣化だと捉えているのだが。
※週刊朝日 2018年9月7日号