建設中の新国立競技場 (c)朝日新聞社
建設中の新国立競技場 (c)朝日新聞社
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 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、混雑時の警備やテロ対策のため、警視庁がある実験を進めている。

 約87万人が訪れた隅田川花火大会で、パナソニックの協力のもと、AIを利用し、警備の効率化をはかる新技術を実験した。

「監視カメラの映像の中から人物を自動検知する技術などによって、人の移動予測を行います。そのことによって、警備の効率を図り、不審者の検知など、テロ対策にも寄与します」(パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社広報)

 12年のロンドン五輪、16年のリオ五輪でも警備員が不足したと報告されており、人員の確保は難航している中、新技術を駆使して、より安全に祭典を乗り切る考えだ。

 今後も大規模なイベントでシステムを活用していくというが、果たして2020年に間に合うのだろうか。

「まだ開発中ですので、お約束できるわけではございませんが、皆様からの税金で業務を受けていますので、今後の成果にご期待いただければと思います」(同前)

 警備の効率に期待する一方で、テロ対策に重要なのは、「水際作戦」というのは、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏だ。

「日本の玄関になる国際空港で、危険な人物を入れないことです。世界には膨大な危険者リストがありますので、日本政府は、各国と協力してリストを収集し、瞳の虹彩や指紋などで本人確認やリストの照合を徹底するべきです。入国してしまえば、テロを防ぐ警備には限界があります」

 また、カメラが配置されない場所や、人で溢れかえる鉄道、五輪の各会場など目の行き届きにくい場所に有効なのは、「見せる警備」だという。

「機動隊の車両をあえて目立つように配置したり、わざと人目のつきやすい場所で警備することによって、未然に防止していく必要があります」

 安全・安心な東京五輪は実現できるのか。2020年まであと2年。今後に期待だ。(本誌 田中将介)

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