一つには、党員票を狙っているのではないか、という見方もある。

 私が若かったころ、自民党には主流派、反主流派、非主流派があり、その論争には迫力があった。自民党の首相が辞任するのは野党との闘いではなく、党内での闘いに敗れたためであった。だが、小選挙区制になったことで、執行部の反感を買うと公認されなくなり、自民党議員はほとんどが安倍首相のイエスマンになってしまった。

 だが、党員には執行部の縛りはない。それに、安倍首相の支持率は各紙とも40%前後だが、実は各紙とも不支持率のほうが支持率よりも高いのである。

 党員の中には当然、安倍内閣不支持も少なくないはずである。実は2012年9月の総裁選で、党員票では石破氏が165票を獲得し、安倍氏は87票に過ぎなかった。だからこそ、党幹部たちはざわめいているのである。だが、青木氏はこのような曖昧な目論見では動かないはずだ。

 私は、青木氏は来年の参議院選挙を考えているのではないか、と思う。

 来年は間違いなく景気は悪くなる。それに消費税を上げざるを得ず、金利も上がる。そして、政権選択の選挙ではないので、野党は一本化しやすい。さらに、国民の中に安倍自民党にお灸をすえようという気持ちが湧き、自民党が負ける可能性がある。そのときに安倍首相が辞任する。そして石破氏が……。このあたりを、青木氏はどのように推し量っているのだろうか。

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号

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